このカバーの裏側には、シナイ伝承の物語的な場面が数多く描かれている。左側では、モーセが「燃えていたが焼き尽くされなかった柴」(神の母)の前に畏敬の念を抱いて立ち、その後サンダルを脱いでいる。右側には、律法の板を受け取るモーセが描かれている。さらにその下には、殉教の地であるアレクサンドリアからシナイ山に移された聖カタリナの聖体を、天使たちが聖遺物箱に納めている。奉納の碑文には、寄贈者のリストと聖地が記されている。このカバーは、様式的には16世紀後半にバルカン半島の多民族金属工芸の中心地であったチプロフチ、あるいはワラキアの工房で制作された作品群に属する。