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表側には、キリストが「ぶどうの木」として描かれ、太古の神の祝福を受け、使徒たちに囲まれている。裏側には「ジェシーの木」が描かれ、神の母が幼子イエスを木に抱き、ジェシーが木の根元に横たわっている。肩の高さにはダビデ王が描かれ、袖にはそれぞれのシンボルを持つ福音書記者たちが描かれている。この法衣は桜色のサテン生地に典型的なビザンチン技法で刺繍が施されている。均一な色調の金線刺繍の間にカラフルな絹が入り、調和のとれた構成となっている。

藁色の絹の濃いステッチで肉感を表現している。全体の構成は、非常に熟練した修道院の工房の作品のように見える。このサッコスはシリル(1759-1790)が所有していたとされているが、彼の死後に作成された「シリルの財産目録」にこの法衣が含まれていないことからもわかるように、かなり古いものであるはずだ。


137 x 149 cm
17世紀
クレタ島のワークショップ

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